「レム睡眠」の役割は?良質な睡眠で脳を育てよう

「レム睡眠」の役割は? 良質な睡眠で脳を育てよう

 

眠りについて調べていると「レム睡眠」と「ノンレム睡眠」という言葉をよく目にすると思います。でも、どちらがどういう眠りなのかわかりにくいですよね。

今回は、「レム睡眠」に的を絞って、レム睡眠の効果的な使い方をご紹介します。

 

 

1.レム睡眠とノンレム睡眠の違いは?

 

ノンレム睡眠だから、レム睡眠じゃない方がノンレム睡眠で……と考えても、どちらがどうなのかはよくわかりません。まず、どういう状態が「レム睡眠」なのかを知ってきましょう。

 

【睡眠時の身体の特徴】

 

・レム睡眠  :まぶたの下で眼球がきょろきょろ動く

・ノンレム睡眠:眼球の動きはおだやか

 

二つの違いは「眠りの深さ」です。

レム睡眠のときは脳が活動しているため、眼球が自動で動いて、手足の筋肉は緩んで力が入らない状態です。逆にノンレム睡眠は、脳も身体も休んでいるので眼球もお休みしています。

 

【レム睡眠状態の身体】

 

・急速な眼球運動がある(寝ている人のまぶたをめくると、目がきょろきょろ動いている)

・骨格筋の筋活動の低下(手足に力が入らない)

・脳は覚醒している状態

・心拍数や呼吸数が増えていて不規則

・呼吸が浅い

 

人は、寝ている間、レム睡眠とノンレム睡眠をセットで繰り返しています。

上の状態を見るとなんとなく予想できますが、寝ていて夢を見るのは主に、頭が起きていて身体が寝ているレム睡眠の時間なのです。

 

レム睡眠

 

2.レム睡眠中の身体に起きること

 

レム睡眠は、身体が休んでいて脳が活動している状態です。

となると、起きやすいのが次の二つです。

 

(1) 夢を見る

(2) 金縛りに遭う

 

どちらも経験がある人が多いと思います。

 

(1) 夢を見る

 

夢を見るのは「レム睡眠」中のことが多いです。

レム睡眠中の脳は、脳幹のアセチルコリン細胞というところから大脳皮質に刺激を送っています。この刺激をPGO波と言います。夢の映像が流れるのは、このPGO波の影響です。

 

夢は、現実では有り得ないようなストーリーだったり、登場人物の行動がちぐはぐだったりと不思議なことばかりですよね。それは、夢を見ているときに現れるPGO波が、脳の記憶部位をランダムに刺激しているからです。

 

夢は、レム睡眠が20~30分以上続いたときに出現しやすいと言われています。そして、レム睡眠はおよそ「90分~120分」間隔で、寝ている間に数回訪れます。かつ、睡眠時間が長くなるほど後半のレム睡眠の持続時間が長くなります。

つまり、明け方になるとレム睡眠は長時間になり、脳の活動が長くなり、鮮明かつストーリー性のある夢を見ることが多いのです。起きた瞬間に夢の内容を覚えているときは、それまでの眠りはレム睡眠だったと考えられますね。

 レム睡眠の中に起きること

 

(2) 金縛りに遭う

 

金縛りには、遭ったことがある人とない人がいます。金縛りとは、就寝中に「意識がはっきりしているのに、身体が動かせない」状態のことですね。

 

「声を出したいと思っているのに、出ない」

「胸が苦しい」

「身体に何かが乗っているような気がする」

 

体験した人はそんな感覚になるようです。そしてよくホラーなエピソードとして紹介されます。けれど、実は金縛りには医学的な名称があります。それを「睡眠麻痺」と言って、睡眠障害の一つだと最近は考えられています。

つまり、レム睡眠中は脳が起きているけれども身体が眠っているので、脳が「動け」と命令を出しても身体が受け取ってくれないことがあるのです。

 

もちろん、金縛りはいつも起きるわけではありません。

はっきりした理由はまだ明らかではないのですが、生活が不規則だったり、暴飲暴食したり、精神的に不安な状態が強く続いていると起きやすいようです。また、若い頃の方が金縛りに遭いやすいようですね。

 

夢と金縛り、これを科学的に考えてみると、なんとなく「レム睡眠」のことがわかるような気がしませんか?

 

 

3.子供と大人で「レム睡眠」の長さに違いが出る?

 

レム睡眠は、年齢によって体験できる時間の長さが変わります。

赤ちゃんは1日中寝ている子が多いですよね。新生児の睡眠時間は1日17時間くらいとも言われています。1歳になると少し減って約13時間、幼児で12時間以下と、だんだん減ってくるんですね。そして大人になると、7~8時間の睡眠で落ち着きます。さらに、高齢になるともっと減っていきます。

といっても、個人ごとの偏りが大きく、季節でも変動するのでこれはあくまで目安です。

 

それでは、睡眠中に占める「レム睡眠」の長さはどのくらいでしょうか?

新生児の場合は、50%程度と言われています。幼児期には20%程度に減少します。これは大人とほとんど変わりません。さらに高齢になると割合が少し減って15%程度と言われています。

 

つまり、年を取れば取るほど、「レム睡眠」の時間は短くなっていきます。

 

子供のレム睡眠と大人のレム睡眠の違い

 

4.「レム睡眠」の役割は?

 

夢を見やすく、脳だけ活動して身体が休んでいる「レム睡眠」の時間は、どうして必要なのでしょうか?

これはまだ諸説在りますが、いくつかの役割があると考えられています。

 

【レム睡眠の役割】

 

(1) 1日の記憶の整理・固定

(2) 学習効果アップ

(3) 脳の育成

(4) 身体の休憩時間

 

それでは、レム睡眠の役割を見ていきましょう。

 

 

(1) 1日の記憶の整理・固定

 

レム睡眠は、記憶に深く関係していると言われています。身体が休憩している間に脳だけ動いて、体験したことや学んだことを整理しているのです。確かに夢を見たとき、なんとなく最近体験した出来事と関係していたりしますよね。ノンレム睡眠のときは脳まで休んでしまっているため、レム睡眠のときに脳は記憶を整理し、忘れてはならない記憶を固定するなど、効率よく作業を進めています。

 

 

(2) 学習効果アップ

 

記憶の整理とも関係していますが、レム睡眠の時間帯に脳は記憶や感情を整理して、消去するか固定するかを判断しているとも言われます。つまり、レム睡眠を取らないと学習効率が悪くなると考えられています。技能、語学の習得に手間取っている方は、きちんと睡眠(特にレム睡眠)が取れているかな、と振り返ってみてください。

これを応用して、運動後、技能の定着のために昼寝をするのが有効という説が出てきています。

 

 

(3) 脳の育成

 

人は生まれてから脳を成長させていきます。視覚、聴覚、触覚などから得た情報を元に情報ネットワークを構築していくのです。この成長する時間がレム睡眠の時間でもあります。赤ちゃんがよく寝て、さらに睡眠中のレム睡眠の時間の割合が多いのは、脳を成長させているからなんですね。

 

 

(4) 身体の休憩時間

 

睡眠中の脳や筋肉を調べると、レム睡眠のときに脳はかなり活発に活動しているのに、筋肉は緊張感がなくなっていて休息していることがわかります。レム睡眠は、身体の休憩時間でもあるようですね。

 

レム睡眠の効果

 

まとめ

 

まとめてみると、「レム睡眠」の時間は、脳が動き、身体はゆっくり休んでいる眠りが浅い状態です。身体の疲れを回復すると共に、脳は記憶の整理や定着に専念できます。つまりレム睡眠をしっかり取ることで、学習効果を上げることが期待できるのです。

とはいえ、睡眠中のレム睡眠の割合をコントロールすることはできません。

なので、「睡眠をしっかり取る」ことで、レム睡眠の時間を確保することが重要です。徹夜で勉強しても記憶の定着は期待できません。しっかり6~7時間半、良質な睡眠を取るように心がけましょう。